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Naturarist
ナチュラリスト
​入門講座4

■ナチュラリスト入門講座 第4回目 高槻市 北山本山寺にて

【高槻市本山寺は特別保護地区】

今回は高槻市の本山寺にての講座です。

季節はちょうど紅葉のシーズン。

本山寺はポンポン山ハイキングの通り道。

たくさんのハイカーさんたちが山の紅葉を愛でながら、坂道を登っていました。

講義は本山寺の離れにて。

その離れに通じる広場には天まで届きそうな背の高い銀杏の木が、青空も隠れるほどに枝を張り、黄色の葉を付けていました。

境内の銀杏.jpg

​境内の見事な銀杏

ご住職のお話によるとこのお寺に、いろいろな山の生き物がやってくるのだそうです。

例えばリス。

リスに胡桃を与えるとどうやって食べるか?

彼らのあの頑丈な歯で、むやみに殻を齧りそうに思います。

ところがご住職の話ではそうではなく、胡桃には「ヘソ」のようなものがあって、そこに歯をたてるのだそうです。

すると簡単にパカッと二つに割れるのだとか。

本当によく食べ方を知っているものだと感心するのだそうです。

さてその胡桃割りの技術ですが、胡桃を食べた事のないリスは胡桃を割る事ができません。

つまり本能で割り方を知っているのではない、という事です。

胡桃の割り方を学習するか、母親から習うのだそうです。

さて境内には実を付けた柿の木があります。

この柿の実を狙って動物がやってきます。

テンやアライグマは木に登って柿の実を枝ごと採ります。

タヌキやキツネは落ちた実を食べます。

ちょっとびっくりですね。

キツネが柿を食べるなんて!

ご住職の動物との面白いお話の後は、仕掛けておいたトラップカメラに何が映っているかみんなで確認です。

意外といろんな生き物が、割と頻繁に出てくるのには驚きました。

シカ、イノシシはもちろんですが、モモンガ、リス、アライグマ、タヌキ、キツネ、など。

中には興味深げにカメラを覗き込むもの、何だかカメラ前でポーズを決める者までいたり(笑)

【お寺の周りをフィールドワーク】

​座学の後は実際に山歩きをして動物のフィールドサインを確かめに行きました。

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​動物たちのフィールドサインを見つけに出かける受講生

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​ここにも見事な紅葉が!

お寺の裏の山はモミ、ツガそしてアカガシの原生林で、開発などの影響を受けることもなく、そこに存在し続けています。

この事実は意外に貴重な事なのだそうで、ここの林は保護するに重要な林に指定されているのだそうです。

と突然講師さん「あそこにムササビの巣がありますよ!」と。

そう目の前の木に上と下に穴が二つ。

直径7〜8センチくらいの、見事にまんまるな穴が。

夜になるとそこからムササビが出ていくのかな?

さて、さらに進んで行くとここにもムササビの巣が。

それは朽ちて苔がびっしり生えた幹にできたウロを出入り口にし、さらに新しい穴をウロの上に作っていました。

今現在は住人はいないようです。

​空き物件です。

ムササビの古巣.JPG

​ムササビの古巣に手を突っ込んでみる。

丸い出入り口.JPG

​丸い出入り口

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​ウロの出入り口

この後シカのぬた場をみました。

ぬた場といってもイノシシのそれのように人間のバスタブもありません。

赤ちゃんのバスタブ程度の凹みでしょうか?

その凹みに体を擦り付け、泥を塗りたくります。

秋はシカたちの恋の季節。

この時期のオスはこのぬた場で泥を塗りたくりつつ、放尿したり射精します。

独特の匂いを身体中に塗りたくって、その体でメスにアピールするのです。

またこの時期は縄張りを持てないはぐれオスが縄張りの主に挑みかかり、縄張りを乗っ取る時季でもあります。

メスは気に入った縄張りオスの縄張りに入り交尾します。

なのでこの時季オスにとって縄張りを持つことは重要です。

この時季の雄シカは一年のうちで一番野生味溢れています。

そしてそれゆえ危険です。

シカのぬた場をしげしげと観察していると背中から

「うわあ〜〜〜!!!」

という歓声とも驚きの声とも取れる叫び声が聞こえてきました。

山歩きしているうちに分かれてしまったメンバーたちの声です。

何事かと声のする場所へ急ぎました。

そしてびっくりするような話を聞かされます。

【イノシシの罠にかかったキツネ】

​私たちのグループがたどり着いた頃には事件が終わってしまってました。

つまりこういう事です。

​(目の前の)イノシシのワナの入り口にキツネの首が挟まっていた!

これには道案内をしていた講師さんもびっくり。

様子から、そんなに時間が経っていないようでまだまだ元気。

必死で地面に爪を立ててもがいていました。

直ぐに講師さん、ワナの戸口を開けて自由にしてやると、キツネは一目散に山の中へ!

​キツネにしてみたら突然ニンゲンに囲まれて「とうとうオレの命運も尽きたか!」と思った事でしょうね。

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​イノシシのワナに首が挟まって身動きできない哀れなキツネ

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​イノシシの罠を目の前にして、イノシシと人間との関わり、ワナの仕組みなどなどの話を聞く

この後イノシシの罠の話を講師さんから聞き、本日の本山寺での講習を終えました。

とんだハプニングがありましたが、今日もまた、面白い生き物たちのフィールドサインを見ることができました。

フィールドサインを見るだけで生き物が間近に感じ取れるます。

でも本当はご本人さんに会いたいなあ!

まあそれはいつかそのうちに。

講座主催団体

公益社団法人 大阪自然環境保全協会

Web site : http://www.nature.or.jp/index.html

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