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Naturarist
ナチュラリスト
​入門講座3-2

■ナチュラリスト入門講座 第3回目 アカネズミを知る

【トラップを回収する】

すっかり夜が明けたところで、さあ、仕掛けたトラップを回収です。​​

首尾よくアカネズミがかかっているでしょうか?

森には20個近いトラップを仕掛けました。

田んぼの用水路の土手、小さなせせらぎの岸辺近く、森の中、藪の中、森の水路の側などなど。

この内、小さなせせらぎの岸辺に近い土手と森の水路に仕掛けたトラップに何かが入っている模様。

持ち上げると重いです。

せせらぎの岸辺の土手に置いたトラップは私の物、森の水路の近くのトラップはスタッフさんの物。

​宿に持ち帰って中を調べてみます。

ネズミが入っていたトラップ01.jpg

森の水路に沿って置かれたトラップ。

​これに何かが入っている様子

ネズミが入ったトラップ2個.jpg

​ネズミが入っているらしきトラップ2個

【オスとメスのアカネズミ】

宿に帰ってトラップの蓋を開けてみると、一つのトラップから若いメスのアカネズミが、もう一つからはおじいさんのアカネズミが出てきました。

ラッキーです。

オスとメスの違いを知ることができます。

​それぞれ、体重、体長(頭から尻までの長さ)、尾の長さ、頭の長さ、耳の長さ、後ろ足の長さなどを測って記録します。

雌のアカネズミ.jpg

​捕獲したネズミを計るにはまずビニール袋に入れます。が、その前に撮影タイム!

メスの体重を計る.jpg

​袋に入れたままメスの体重を計ります。

​ビニール袋の重さはあらかじめ0に設定しておきます。

​38.9gありました。

メスの体の様子.jpg

乳首が目立っているので子持ちのお母さんかもしれない。

けど、お乳が張っていないので授乳は終わったはず。

​次の繁殖のサインは無い。

おスの体重を計る.jpg

オスの体重を計ります。

この個体はメスに比べておとなしいのでビニール袋なしで測定。

​44.1gでした。

【オスとメスの見た目の違い】

人間ならオッパイが大きい方が女性となりますが、動物は乳首が目立つだけです。

そして乳首が目立つのは捕獲したメスのように子供がいるときだけです。

ちなみにオスにも乳首はあるので、乳首のある無しでオスかメスを決められません。

では何を基準にするかというと、やはり陰部です。

お腹に突起のようなデベソのようなものがありますが、肛門からそこまでの距離が長い方がオス、短いのがメスだそうです。

オスは突起物と肛門の間に「タマ」があります。

このタマはやはり二つあり、繁殖期に大きく目立ちます。

​けど今回のオスは目立っていないので繁殖モードにないと言えます。

【森へ返す】

​さて、一応の観察、測定が終わったら、捕獲した場所にネズミを戻します。

トラップをそっと地面に置いて、そおっと出口を開けます。

メスのアカネズミの場合は、あんなにトラップの中で右往左往していたのに、いざ外への扉が開くと逆に警戒してなかなか出てきません。

鼻をヒクヒクさせて様子を伺っているようです。

けど安全を確認したのか、戸口まで出てくると後は一目散に、まるで飛ぶように森へ帰って行きました。

捕獲した場所.jpg

捕獲した森。

​ここにネズミを放す。

捕獲した場所に放すメス_edited.jpg

​用心深く出口まで出てきて辺りの安全を確認すると、飛ぶようにして走って森に帰っていった。

捕獲した場所に放すオス.jpg

おじいさんのアカネズミ。

​トラップから出されてしばらく自分がどこにいるのかウロウロした様子だったけど、やがて正気を取り戻して緩々と森へ帰って行った。

【ありがとうアカネズミ】

アカネズミからしたらさぞかし怖い体験だったでしょう。

例えば私たち人間が、宇宙人に攫われて身体検査や観察されるような物です。

何をされるのか全くわからないから怖い!怖い!

実際メスの方は保定されて身体測定されている間脱糞していました。

でも彼らがこの里山に健康な状態で居てくれることがわかって、ここの自然の循環が正常に行われていることを理解しました。

彼らは小さな存在ですが森が循環して行くには欠かせない存在です。

アカネズミさん、色々教えてくれてありがとう!

【追記】

この調査体験は市町村に許可を得て実施しています。

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講座主催団体

公益社団法人 大阪自然環境保全協会

Web site : http://www.nature.or.jp/index.html

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